人間レベルのAI「汎用人工知能」(AGI)とは何なのか

AGI(汎用人工知能)とは
現在「AI」と呼ばれている技術は、概して特定の限られた用途に使われている。これらのAI技術が進化を続ければ、人の知能を再現した真のAI、「汎用人工知能」(AGI)が登場する可能性がある。
人工知能(AI)技術を実装したアプリケーションは概して、特定のタスク処理に特化している。AIの本来の意味である、人の知能を完全に再現した機械は、まだ実現していない。
「AI」と呼ばれる技術は、2つの一般的なカテゴリーに分類できる。「弱いAI」と「強いAI」だ。弱いAIはAIの要素技術のことであり、現状の一般的なAI技術を指す。強いAIは本来の意味でのAIであり、「汎用(はんよう)人工知能」(AGI:Artificial General Intelligence)とも呼ばれる。
AGIの目指すところ
まず、人工知能(AI)と聞いてどのようなものを思い浮かべるか?
iPhoneで使用可能な「Siri」や、Windows10で使用できる「Cortana」など、対話やアシスタント機能を持つもの。「AlphaGo」や「AlphaZero」といった囲碁や将棋でプロをも圧倒するもの。人により思い浮かべるものは違うかもしれない。近年様々なAIが開発され、身近なものとなっている。TikTokが若者の間で流行っているがTikTokのAIアルゴリズムは人々を魅了している。
ただし、これらはいずれも何かの能力に特化した人工知能であり、一般的に特化型人工知能(Narrow AI、狭いAI、弱いAIなど呼称は様々)と呼ばれています(現在実現しているAIは全てこの特化型人工知能である)。
これらに対して、汎用的な知能を持つ人工知能を汎用人工知能(AGI、強いAIなど)と呼ぶ。
汎用的といってもどの程度を汎用的というかの定義はないが、一般的には人間と同様の知能を持つ人工知能という認識で使われることが多い。
例えば映画で言うと「トランセンデンス」や「エクスマキナ」のような世界観。漫画・アニメで言うと「ドラえもん」などもAGIのイメージが近い。トランセンデンスや、エクスマキナは過激なAGIの印象が強いが、「ドラえもん」のような「友好的なAI」、人間に悪い影響ではなく良い影響を与えると考えられる汎用人工知能(AGI)のことを基本的にAI研究者達は目指している。
現状AGIは研究段階
残念ながら2021年現在では、AGIの実現はできていない。
AGIを実現するためには、まず以下の二つをクリアする必要があると言える。
- 人間の知識(脳)についての理解を深める(認知アーキテクチャ等)
- それらの知識をロボットなどに知識として与える(認知ロボティクス等)
これらをクリアするために、認知アーキテクチャの研究(人間の脳や認識処理の研究)や、認知ロボティクスの研究(ロボットなどに知識を与える研究)、またAIブームのきっかけとなった既存の学習能力(機械学習や深層学習など)をどのように活用できるかといった研究が進められている。
今後の展望
AGIの実現がいつになるのか?様々な研究者が予測していますが、そう遠くない未来と言われている。
人工知能研究の世界的権威である「レイ・カーツワイル」は、2029年にはAGIが人間の知識を超えると予想している。更にナノテクノロジーの発展やコンピュータ処理能力の向上により、2045年には人間の能力や社会が根底から覆ると予測されている。これらは「技術的特異点(シンギュラリティ)」と呼ばれている。
ここまでAGIが発展すると、AGIが自らを改良し続けることにより、爆発的な進化が起こるというものである。
最後に
人間の脳や認知に関する研究もまだまだ時間が掛かかる様子だ。量子コンピュータなどといった関連する技術の発展もまだ先になりそうである。2029年にAGIが人間の知識を超えると予想しているのは現段階では見通しは通ってないない。しかしこのまま技術発展が進めばそう遠くない未来にAGIは完成するはずだ。逆にAGIさえ完成すれば、シンギュラリティは2045年の前に起きるのではないだろうか?
上記に記載した、レイ・カーツワイルの予測に関しても様々な議論があり、AGIが人間の知識を超える日は永遠に来ないと予測する方もいる。
しかし、実際にAGIの実現やシンギュラリティが実現したらどのような変化が起こるのか、非常に気になるところだ。
レイカーツワイルは次のような興味深いことを言っている。
・人に変わってAGIが労働を担う
・機械の体と融合して不老不死になる
・地球外の惑星で生活できる
・仮想現実空間で生活できる
シンギュラリティ後の世界ではこれらが当たり前のこととなると言われている。
現在では考えられないことだが、未来ではあり得るかもしれない。今後どのような展望を迎えるのか、随時情報を更新していきたいと思う。